この秋は、お茶室体験をたびたびさせていただき、文化的なひと時を楽しむことが出来ました。 昔から茶道は好きで意欲的に習っておりましたが、中でも合理的でかつ美しい所作に若い頃は憧れ、勉強していたことを思い出します。 年月を重ねたせいか、あるいは職業のせいか、コミュニケーションの奥深さをあらためて体感し、感激して帰ってまいりました。 今回2畳台目という大変小さい空間でのお茶会でしたので、とくに強く感じたのだと思います。
大きな空間では、少々いい加減な姿勢や立ち居振る舞いであっても目立ちにくいのですが、小さな空間であれば、それは即あらわになってしまい、かつ周りに影響を与えてしまいます。 そして、たちまち全体の調和が乱れてしまう…ほんとうに繊細な空間であることを実感しました。 私たちのまわりには、目に見えるものだけが存在しているのではありません。見えないものもたくさんあります。 たとえば空気です。静かにたたずんでいる人たちの中で、バタバタと気忙しく動く人がいたらどうでしょうか…? とたんに空気の流れが変わります。 先日あるセミナーで、誰かの携帯電話が鳴り、その人は退室しました。その人はもちろん講義が聴けなくなりましたが、それだけでしょうか…? 残された人たちの耳を澄まして聴いていた空気もばっさりと遮断され、場合によっては、講師も受講生もともに気持ちを立て直すのにしばし時間がかかる…そんな経験ありませんか。 無論、当事者はそこまで感じていません。「ごめんなさい」とあっさり席に戻ることが多いのです。
何が言いたいか…。 つまり、全体の調和を図るために、自分の行動をもっと注意深く見る必要がある、ということです。 (迷惑かけてないし…) 本当にそうでしょうか?気づいていないだけかもしれません。 小さい空間には濃密な時間が流れます。それは、自分を振り返る学びの時間、気づきのチャンスかもしれません。 皆さま、是非一度お茶会を味わってみてくださいね。